ヤノマミ
国分 拓
ブラジルの奥地、アマゾン。そのアマゾンの先住民族の一つヤノマミ族に密着取材という名の150日の共同生活をNHKのディレクターが書き下ろした本。
もちろんNHKで番組にもなっている。放送当時はかなり話題にもなった。
一口に狩猟採取民と言っても千差万物だ。ある一つの民族を見て縄文時代と重ね合わせることは必ずしも正確ではないことは百も承知で、それでいて少しだけ縄文に重ね合わせてこの本を読んだ。
この本はある種の観察日誌とも言える。彼らの生態や風俗、恋愛観や宗教観。一つ一つを現代の日本人の目で、時に驚き、時に恐怖し、綴っている。
その中でも最も衝撃を受けたのはやはりこのことだ。新生児の生殺与奪権はそれを産んだ母親に委ねられているという風習には、怒りと悲しみと驚きが混ざり合い、本を読みながらその場から逃げ出したくなった。人間として生きることのできなかった新生児はシロアリの餌となり、そのシロアリの巣を彼らは燃やす。これを外から批判することは間違えなのかどうなのかさえ、一読者としては判断がつかなかった。ただ言えるのは現代の日本の基準が通用しない場所があるということだけは理解することができる。
文章は硬く、とっつきはよくないけど読みやすい。ジャングルの暗い森の中によく似合っている。
http://jomonzine.com/pg147.html
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